物流人財について ~中小倉庫改善研究会 ZOOM勉強会より~

物流人財について 
~中小倉庫改善研究会 ZOOM勉強会より~

私の主催している
Facebookグループの「中小倉庫改善県協会」のZOOM勉強会。

今回は、物流人財について、
研究会のメンバーでもある物流コンサルタントの
仙石恵一先生にお話をしてもらいました。

お話をしてもらった内容は

1:日本の物流の実力値
2:物流ってなんだ?
3:物流現場での問題点
4:標準を見える化し、標準化する技術
5:物流を進化させる技術
6:物流現場をマネジメントできる技術

といったものでした。

一番最初は、クイズから始まりました。

それでは、皆さんにも同じ質問です。

皆さんの職場には、二通りのものしか存在しません。

一つは、「仕事」です。

では、もう一つは?

その答えは、「ムダ」だそうです。

では、なぜ、「ムダ」なのでしょうか?

生産性アップをしたい場合、
多くの人は「ムダ」を削減する事でしょう。

では、その「ムダ」をどうやって探すのか?

まず、「ムダ」とは、
何に対して「ムダ」なのかを考える必要があります。

この場合の「ムダ」とは、生産性をアップしたいので、
仕事に対しての「ムダ」を探す必要があります。

そうです。

仕事に対しての「ムダ」を探す必要があるのです。

ここからは私の考えですが、ここで難しいのは、
ある人は、「ムダ」とは思わない事で、
別の人にとっては「ムダ」と捉える場合があると言うことです。

目の前の仕事を早く終わらせる為には、
ひと手間は「ムダ」な事かもしれません。

ところが、全体を通して見た場合、
そのひと手間が、全体の流れを良くするという場合もあるのです。

物流現場においては、全体の工程の流れを見ずに、
自分の担当の工程の生産性だけを考えて、
ひと手間を省くことが多々あります。

その場合、自分の担当の工程の生産性は上がっても、
後工程において、手間が増えたりする可能性もあります。

その結果、生産性を低下させてしまうかもしれません。

なので、何でもかんでも、「ムダ」と判断するのではなく、
前後の工程のつながりを考えたうえで、
「ムダ」なのかを判断する必要があります。

みなさんは、
世界における日本の物流の実力について考えた事があるでしょうか?、

正直、物流に関わっていても、あまり考えた事がないのではないでしょうか。

今回のお話によると日本は世界の第七位だそうです。

では、アメリカと比べるとどうかと言いますと、
アメリカを100とした場合、運送の労働生産性は、アメリカの四割だそうです。

そして、倉庫はと言いますと、アメリカの6割だそうです。

アメリカと日本では、
物流に対する考え方の違いが、ここに表れているのではないかと思うのです。

運送・倉庫の地いや役割の重要性は、
アメリカの方が高く、経営戦略を考える上で欠かす事は出来ないのです。

では、日本はどうでしょうか?

最近は、大手メーカーは、効率化、経費削減のために
さまざまな物流改革に乗り出してきています。

ただ、まだまだ会社内での物流に対する考え方は、
荷物を運ぶだけの部署、商品を保管するだけの部署という
捉え方をしているのではないでしょうか。

そこで、基本的な事として、物流とは、何でしょうか?

多分、一般の多くの人は、
物流=トラック(運搬・輸送、運送会社)
というイメージするのではないかと思うのです。

当たるずとも遠からずですが、
物流はあくまでもサプライチェーンの一部です。

ちなみにサプライチェーンとは、
製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れを指す用語です。

機能別に簡単に示すと、
購買管理→生産管理→物流管理→販売管理という
流れの中に物流があります。

ただ、物流管理は、昔からの流れで、
物を保管して、運ぶだけという意識が根強く、
単純作業というイメージで、人海戦術により、
大人数で行うやっつけ仕事になってしまい、
人財育成には力を入れてきていませんでした。

その結果、物流管理には、
優秀な人財が集まらないだけでなく、
給料も安く、会社内においても、地位が低く、
人気が無い部門になってしまっています。

では、物流のオペレーションの機能には、何があるのでしょうか?

単純作業と言われている物流ですが、
一般的に5つの工程から成り立っています。

1:輸送
2:保管
3:荷役
4:包装
5:流通加工

そして、最近は、「情報」という機能も加わりました。

どうでしょうか?

これでも単純作業と言えるでしょうか?

一つひとつの仕事を見れば、
単純作業と言えるかもしれませんが、
それぞれが繋がり、連動し合い、影響し合っているのです。

連動し合い、影響し合っている以上、単純作業と言い切れません。

そして、物流管理を細分化すると7つの領域に分けられます。

1:物流サービス
2:物流システム
3:物流生産性
4:在庫
5:物流コスト
6:安全管理
7:環境対策

になります。

ちょっと分かりにくい部分として、
物流サービスと物流システムではないかと思います。

物流サービスとは、お客様・荷主に喜ばれる為の
品質・水準を設定、実行し、管理するものです。

そして、物流システムとは、
トラックなどで商品を運搬する為に効率よく、配車をして動かす事です。

飲食店で言えば、物流サービスとは、
接客サービスであり、物流システムは、注文管理などをするシステムなのです。

そして、物流の問題点ですが、
一言で言えば「型」が無い事だそうす。

ところで「型」とは、なんの事だと思いますか?

物流においての「型」とは、簡単に言えば、マニュアル、標準作業です。

マニュアルや標準作業が無いと言う事は、
作業者間において、基準となる作業が、具体的、且つ、明確になっていないのです。

そして、共有化されていないのです。

私もいろいろな物流会社の現場で働いてきましたが、マニュアルを見たことがりません。

あっても、古くて使えないのです。

では、なぜ、日本の物流には「型」となるマニュアルが無いのでしょうか?

あくまでも、私の考えですが、
日本の場合、仕事の教え方は、見て覚える、やって覚える、
盗んで覚えるが、根底にあるからではないかと思います。

その大きな要因が、仕事を教える方法として、
昔ながらの職人的な教え方が基本で、
その流れを変えれずにきた結果ではないかと思うのです。

マニュアル、標準作業手順が明確になっていないと、どうなるでしょうか?

簡単に言えば、
作業者に作業の手順をすべて任せていると言う事なのです。

それは、言い換えると、
会社からは、作業手順に関しては、
何も言えない状態を創ってしまっているのです。

その為、ミスなどをした場合でも、
原因を探すためには、相手に作業の流れを聞き、
そこから探すしかありません。

もし、何人かが同じ工程で、
同じミスをした場合も、
一人ひとり、作業の流れを確認する必要があります。

これほど、無駄な事はありませんし、
対応策を考える事は、ほぼ無理と言えます。

こう言ったムダを無くすためにも、
標準作業を作り、作業者に伝えて、覚え込ませ、
作業を行う上での、共通言語を作る必要があります。

ところで、多くの物流現場の1番の関心事とは、何でしょうか?

多くの物流現場の関心事と言えば、生産性であり、残業時間でしょう。

残業時間を減らす為には、生産性を上げる必要性があります。

では、今現在、自社の生産性が高いか、低いか答える事が出来ますか?

良いか悪いかを計るためにも、基準を決める必要があります。

では、基準を決める為に必要な事とは、何でしょうか?

それは二つあります。

1:作業のルールを決める
2:作業の出来栄えを計れる物差しを作成する

なのです。

作業のルールは、どの職場も作ってはいると思いますが、
形骸化している可能性があります。

ルールは決まっていても、
そのルールを守る理由を知らないために、
守ったり、守らなかったりしている場合があります。

その為、偶然が重なり、ミスに繋がってしまう事があるのです。

そして、そう言ったミスが起こると、
ルールの見直しをしたり、追加をしていくのです。

これもムダの1つでもあると思うのです。

もともとのルールをしっかりと守っていれば、
ミスが起こらなかった可能性が高いのにも関わらず、
徹底させていなかった事で、新たなルールを考えたり、
対策を考える必要があるからです。

これに費やす、時間や労力を考えれば、無駄としか言えません。

そして、作業の出来栄えを計る物差しは、
分かりやすく言えば、一つの作業にかかる標準時間です。

この標準時間が、明確になっていないと、
一人ひとりの作業スピードの評価ができません。

また、全体の作業を行うためには、
どれぐらいの作業者が必要なのか決めることが出来ません。

決める事が出来ないということは、見積もりを出す事が出来ないのです。

例えば、ディーラーなど部品を交換した場合、
工賃の計算が出来ずに正しい請求が出来ない事を意味します。

ただし、作業の標準時間を決めたからと言って、
誰でも最初から、標準時間で作業が出来るとは限りません。

とくに倉庫現場の作業者は、パート、アルバイト、派遣社員が多いです。

その為、倉庫作業が初心者、未経験という場合が、ほとんどです。

そう言った人達に、最初から標準時間で作業を望むのは酷というものです。

もちろん、半年、1年も同じ作業を行い続ければ、
標準時間で作業が出来るかもしれません。

とは言え、個人差がありますので、絶対とは言い切れません。

では、どうすればいいのか?

私の考えでは、現場を見える化して作業手順を標準化して、
働き出して1年ぐらいの作業者のレベルを想定して標準時間を決めます。

これにより、作業の標準時間が決まります。

もちろん、標準作業書(マニュアル)がある事が前提です。

標準作業書が無いと、
標準時間を決める事が出来ないだけでなく、
作業の流れを教え込ませて、
標準時間通りに作業を終わらせる事ができません。

そして、標準作業書通りに教えた後は、
一人で行わせて、作業を観察をして、気が付いた点
問題点があれば修正をしていきます。

これを行うのは、現場の監督者や現場リーダーとなります。

言葉で書くのは、簡単ですが、私の経験上、
一度、教えた後は放置状態の場合が多いのではないかと思います。

私が働いてきて一番驚いたのは、
人手不足だからサポートは出来ないと言われた事もありました。

標準作業書が出来る事で、作業のバラツキが出ず、
ルールから外れたことをしない為の抑止力にもなります。

その結果、作業の品質の安定化に繋がります。

そして、基準と手順を作る事も必要だそうです。

基準とは、安全基準、品質基準、
フォークリフトの取り扱い基準などであり、
手順は、作業手順のであり、要点や気を付ける点などです。

そして、標準時間を決める事で明確になる事が一つあります。

一番分かりやすいのが、作業量の分担です。

標準時間が明確になる事で、
作業全体の時間管理もしやすくなるのと同時に、
作業者の配分もしやすくなります。

その結果、一人ひとりの作業量の配分も平等になっていきます。

私の経験上、物流現場の悪いところは、
仕事が出来る人、責任感がある人には、仕事をトコトン振る傾向にあります。

頑張って、頑張って潰れてしまう人もいれば、会社を辞めていく人もいます。

私の場合は、多い時で5つぐらいの作業をほぼ並行で行っていました。

また、トラックの荷下ろし、
梱包、積み込みを同時進行で行っていた時もありました。

当時は、大変でしたが、
状況に応じて柔軟に対応できるスキルや優先順位付けが
自然と身に付ける事が出来たので、
今思えば、良い経験が出来たと思います。

もちろん、そんな人ばかりではないので、
対応できない人は、確実に潰れていきます。

今までは、
仕事が出来る人、責任感がある人に仕事を任せて、
どうにか仕事を行ってきましたが、
物流の増加、人手不足、労働時間規制などにより、
物流を進化させる必要があります。

また、オペレーションにおいて、
計画外の作業が余分な無駄やロスを生み出すのです。

そうしない為には、物流の監督者は、
購買管理、生産管理、販売管理を知っておかないと
物流の現場から意見を言えないのです。

私の経験上、少なくとも生産管理と販売管理に関しては、
物流現場から意見を言える関係性を築いておく必要があります。

そうでなくては、
倉庫内は商品で溢れかえってしまう可能性があるからです。

ところで、先ほどお伝えした物流管理をする為の
7つの項目だけでは不足なのです。

物流管理とは、
端的に言ってしまえば、在庫であり、在庫管理なのです。

これは、倉庫で実際に働いていると分かるとは思います。

物流は、
モノを運ぶものという印象を多く持っていると思いますが、
運ぶモノは、どこに保管していますか?

倉庫であり、そこで在庫として管理されいます。

そこで問題になってくるのが、
なぜ、在庫が増えて、倉庫に溢れるかを知っているかどうかのです。

倉庫内に在庫が溢れると作業効率が低下します。

場合によっては、
危険箇所が増えて、安全性が悪くなる可能性もあります。

なので、なぜ、在庫が溢れてしまうのか、
その根本原因を知っておく必要があります。

その為には、最低でも材料在庫、
生産ライン在庫、完成品在庫について知り、
在庫コントロール技術を学び、身に付ける必要があるのです。

その他にも工程設計技術、
調達管理技術も学び身に付ける必要があります。

では、物流監督者の役割は、何でしょうか?

それは、

1:作業の標準化
2:作業指導と定着化
3:標準作業の改善
4:異常時対応
5:4M(人、モノ、設備、方法)変更管理

が挙げられます。

では、物流現場での正しい仕事の教え方とは?

1:作業をしっかりと説明
2:自らやってみせて、相手にやらせてみせる
3:教えたあとの観察を行う

この3つのステップになります。

これは、多分、どの現場でも行っているとは思いますが、
大事な事が抜ているのです。

それは、標準作業を見せて説明し、
作業書を使って説明させて、実際に標準作業書通りにやらせてみる事です。

なぜ、抜けているかと言えば、標準作業書が無いからです。

ほとんどの場合、口頭で説明しているだの場合がほとんどなのです。

標準作業書は、難しいものではなく、
初心者・素人でも理解が出来て、作業書を見て、
誰でも出来るものでなくてはなりません。

標準作業が出来るよになったら、次は、作業者のレベルアップです。

その為には、作業者の力量を把握する必要があります。

その際は、数値で把握する必要があります。

そうでなくては、具体的な目標が作れず、相手に合わせた指導が出来ません。

では、一人の作業者は、
どれぐらいの作業が出来ればいいかと言えば、
一人の作業者は、基本的に三つの作業が出来るようにするのです。

そして、一つの作業を三人の作業者が行えるようにします。

また、
すべての作業を三人の作業者が出来るよにすれば、
状況に応じて、臨機応変に対応できるはずです。

ただ、作業者が少ない場合は、
現場の作業者がすべての作業を出来るよにしておく必要があるかもしれません。

私の場合が、そうでした。

作業者が少なく、一人で、トラックの積み込み、
荷下ろし、出荷準備、路線業者の積み込み対応、
外注からの荷受け、検品、トラックによる配達など、
現場の作業は一通り経験をしてきました。

なので、人手不足の倉庫現場においては、
すべての作業を出来る作業者が何人いるかによって、
状況に合わせて臨機応変に対応できるかが変わってきます。

そして、現状において一番不足しているのが、
現場の作業に対して、柔軟に対応できる作業者なのです。

その作業者を育成する役目が、現場監督者なのです。

どうでしょうか?

あなたの倉庫現場を管理している監督者・管理職の人は、
現場作業者の育成をしているでしょうか?

追伸
このブログの内容は、仙石先生のお話を聴いて、
私なりに解釈をした内容となっています。

お話の後は、質疑応答などにより、さらいに議論がありました。

その部分の内容は加味されていません。

また、勉強会の内容は、録画をして、
メンバー限定でいつでも振り返り、出来ようにしています。

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