倉庫現場作業者に対して人材育成を行う前に

倉庫現場作業者に対して、人材育成が行われない理由は、非正規雇用者が多いだけでなく、それ以上に、現場で働く人が現状維持を求め、変化を嫌う傾向があるからです。

なぜ、そのようなことになっているのかといえば、物流の仕事はなくならないという思い込みが影響しているのと、自分の人生と本気で向き合うことから逃げているのです。

私自身、長年、現場作業者をやってきたら分かるのです。

毎日、慌ただしく仕事が流れていきます。なので、この流れがずっと続くと思い込んでいました。

思い込んでいたので、自分の将来の人生に対しても、深く考えませんでした。

今から思えば、狭い世界で生きていました。

そんな狭い世界から抜け出すきっかけは、インターネットのメーリングリストのオフ会への参加でした。

今は、オフ会なんて言葉は使わず、普通にインターネットで知り合った人と会っていますが、20年前は、そんなに気軽に会う人は少なかったと思います。

当時は、本名を名乗る人は少なく、まったくいなくて、ハンドル名を名乗っている人がほとんどでした。

そんなオフ会に参加することで、色々な人から、色々な話を聞く機会がありました。

いろいろな話を聞いて、自分の物流の仕事と比べて、毎日、同じことの繰り返しでいいのか、この先も、同じことの繰り返しでいいのかと漠然とした不安を感じました。

そんな不安感から、「7つの習慣」、「思考は実現する」など、いろいろな書籍を読み、「ケイコとマナブ」という雑誌で「自分の人生のハンドルを握る」というキャッチコピーに惹かれて、コーチングを学びました。

当時、コーチングのコーチというと、スポーツのコーチ?と間違えられるほど、認知度が低かったコーチングです。

今、思えばよく躊躇もなく、学び始めたなと思います。

とはいえ、コーチングスクールで、自分の人生、ミッションに向かい合うことができました。

向き合うことができたことで、物流というルーティン作業を行っているのではなく、何のために、誰のために仕事をしているということを言語化して、自覚することができました。

今は、セミナーや研修で、コーチングを学ぶことは多いと思いますが、内容的には、質問、傾聴、ラポールといったものが多いのではないでしょうか?

自分の人生と向き合い、自分の人生において、今の仕事はどのような関係があるのか、今の仕事の中に、自分が大切にしたいものが存在しているのか、自分のミッション・使命を考えることは少ないと思います。

もちろん、行っている企業もありますし、リッツ・カールトンホテルのようにクレドカードとして携帯をしている企業もあるでしょう。

ただ、物流現場においては聞いたことがありません。

だから、自分の人生=仕事人生=会社に人生を捧げている状態になってしまっているのです。

昭和時代であれば、それが当たり前であり、国内で経済が回って、会社が成長して、給料も昇給し放題でした。

ところが、今は違います。

年収格差は、年々、広がっています。

物流業界は、もともと2〜4時間残業をして、初めて平均的な年収になるのです。私も、当時は毎日平均3時間以上残業を行っていました。

世の中でいうアフターファイブなんて関係ない環境でした。

ただ、荷主がトヨタ自動織機、デンソー、アイシンといった大手だったので、仕事自体は安定していました。

もし、今もその会社で働いていたら、毎日、同じ作業を繰り返して、平凡な日常を繰り返していたのではないかと思います。

今、物流現場で働いている多くの人も、同じように平凡だけど、安定した生活を送っていることで、自分の人生と向き合う機会がないのだと考えます。

ところが、時代は、どんどん変わっています。

物価は上がっても、収入は上がらない。単純作業は自動化され、現場作業は効率化が求められて、作業者の行動は、見える化・数値化されて管理されています。

そして、荷主企業も、物流現場に対して、作業効率アップ、作業品質の向上を求めてきます。

それに対応できなければ、委託先を変えるか、自社物流に変える可能性があります。

そうなると、なくなるはずのない仕事がなくなります。

言葉が悪いですが、こんな状況においても、現状維持が良い、変わりたくない、責任を持ちたくないと自分の人生と向き合うことから目を逸らし、逃げているのが、倉庫現場作業者に多くいます。

もちろん、自分で納得をしているのであれば、問題ないですし、将来の生活がどうなろうと自己責任です。

ただ、自分の人生と向き合う機会を得られない人も多くいます。
少なくとも、向き合う機会を与えることは必要ではないかと考えます。

自分の人生と向き合い、どんな選択をするかは本人次第です。

現場作業者に対して、人材育成を行う、行わない以前に、作業者一人ひとりに対して、自分の人生と向き合う場を作ることが重要だと考えます。

自分の人生と向き合い、自分がどうしたいか、自問自答させた上で、人材育成を受ける、受けないを判断させるべきだと考えます。


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