倉庫作業者の人財教育が、上手くいかない原因
倉庫作業者の人財育成が上手くいかない原因は?
倉庫現場の作業者育成は、他の業界よりかなり遅れています。
その大きな原因は、
育成のためのプロセスを省いてしまっているからです。
倉庫現場の作業は、ルーティーン作業、単純作業、
力仕事と言うイメージが強く根付いています。
その為、会社は、基本的な仕事のやり方さえ教えれば、
後は勝手に仕事を覚えて、生産性アップや改革・改善案を考え、
実行してくれると都合の良い事を考えてしまっています。
それは、会社の都合であり、
作業者としては、預かり知らない事です。
もちろん、会社からは、
生産性アップや改善対策を行うように言われますが、
多くの人が倉庫現場作業の事をよく知らない
素人・未経験から始めます。
なので、生産性アップや改革・改善案、
倉庫内の整理整頓やレイアウトを考える事が出来ません。
「無い袖は振れないのです」
私の経験を例に上げますと、
入社して3ヶ月後にメインの仕事の他に
4つ仕事を同時に任された事があります。
しかも、メイン仕事すら、満足に覚えていない状態で。
4つの仕事は、メインの仕事の隙間時間を使って行うものでしたが、
それぞれ覚えたり、上手くやるコツを身につけるまでには時間が必要です。
そんな状態にも関わらず、
人手不足だからフォローは出来ないと放置状態でした。
そして、半年後には、
仕事が遅い、効率が悪い、1人前の仕事が出来ていない、と言われました。
半年間は、昼の休憩以外に10分間の休憩を2回取れるはずでしたが、
その休憩も取れず、体重は7キロ減りました。
これは、SL理論で言えば、
指示からいきなり委任へ移行した事になります。
違う職場では、入って3か月で違う部署の仕事に移ったと思ったら、
週5日の内、4日は、違う倉庫の応援に行かされた事もあります。
また、私の経験ではありせんが、大学卒業入社1年目の素人に、
アイテム数が大小合わせて約2000ある
新規立ち上げの倉庫内レイアウトと整理整頓を任せる職場もありました。
入社1年目の未経験の素人が、
倉庫のレイアウトや整理整頓が出来ると思いますか?
そのレベルで、倉庫現場が動いているのです。
もちろん、すべての倉庫現場がそうだとは言いません。
ただ、一つ言えることは、仕事の基本を教えた後は、
放置か、多少のサポートだけなのです。
なので、
仕事を通して成長をしたり、生産性アップや改善対策を考える為の
教育指導はされていないのが現状です。
その為、基本的な仕事の経験は増えても、
出来る事は、基本に忠実な作業だけなのです。
その結果、単純仕事、やっつけ仕事、
ルーティーン作業しか出来ない作業者を量産しているのです。
もう少し簡単に言いますと、
車通勤で毎日、制限速度を守って、
安全運転で同じ道を10年以上通っていたとします。
ただし、通勤以外では、車の運転はしていません。
ポイントは、
毎日同じ道(ルート)であり、変化の無い運転動作です。
車の運転経験は、
10年以上あっても、毎日同じ事しかしていないのです。
そんな人が、
高速道路の合流をスムーズに行う事が出来るでしょうか?
限られた状況・環境下の運転経験では、
運転スキルも限られてしまい、運転スキルの向上にも限界があります。
これって、毎日、同じ状況・環境で、同じ作業の繰り返しの
倉庫作業と似ていませんか?
なので、仕事のスキル向上にも限界があります。
その為、仕事の基本を教えて、あとは放置してしまっては、
スキル向上が出来る人と出来ない人に分かれてしまい、
人材から人財へ成長する人も限られてしまいます。
そうしない為に
教育指導のプロセスをしっかりと行う必要があります。
生産性アップや改善対策を考えるためには、
決められた枠を壊し、変える必要があります。
基本しか教えられてない人にとっては、
決められた枠を壊し、変えると言う発想の転換がなかなか出来ません。
なぜなら、
基本を守って仕事を行う事が、正しいと教えられているからです。
先程もお伝えしましたが、
生産性アップや改善は、決められたことを変える必要があります。
その為には、様々な立場による視点や考え方が必要になってきます。
ところが、
仕事の基本を教える際は、1つの視点や考え方しか教えていません。
なので、仕事の基本しか教えられていない人にとっては、
生産性アップや改善対策を考えるヒントすらありません。
これが人材から人財へ成長できない大きな壁になっているのです。
簡単に言えば、登山を1回もしたことがない人に、
いきなり、エベレストの頂上へ登るように言っているようなものです。
普通であれば、下準備と訓練をしっかりと行うものです。
その下準備と訓練にあたるのが、教育指導のプロセスなのです。
なので、倉庫作業者の人財教育が、
上手くいかない原因は、教育指導プロセスを
省いてしまっているからなのです。