共同輸配送の成否は、倉庫作業者の活用にかかっています


今、物流業界では、
トラックドライバー不足の対策として、
共同輸配送を試験的に行っています。

新しい事に挑戦しているイメージですが、
別段、新しい事ではなく、似たような事は自動車業界では、
昔から行われてきました。

その証拠に、私の働いた倉庫は、
数ヵ所の工場から荷物を集荷してきて、
貸し切り10tトラック2台に荷物を積んで
愛知県から北九州まで運んでいました。

今、行われている
共同輸配送との違いを大まかに言えば、
同じ荷主の荷物か、
違う荷主の荷物を積み合わせるかの違いに過ぎません。

今後、本格的に共同輸配送を行う場合は、
二ヵ所ではなく、三ヵ所以上の場所で
積み下ろしをする必要が出てくるはず。

こう見ると、すごく効率が良いように見えます。

この輸配送方式の最大のデメリットは、
荷物の集荷時間や積み込み時間の管理をしっかり行わないと
全体が遅れてしまうと言う事です。

私が働いた倉庫では、
17時ぐらいから大型トラック2台に荷物を積み込み始めて、
18時出発厳守でした。

ただし、積み込む荷物は、16時30分から着だして、
17時30分ぐらいに全部揃う感じでした。

約1時間で、
大型トラック2台分の積み込みを終わらせる事になります。

荷物を集荷してくるトラックは、
九州へ行く荷物の他に
路線業者6社の荷物も同時に持ってきます。

なので、
この1時間の荷下ろし場は、戦場の様に荷物が溢れ、
フォークリフトが通る隙間は、
あえて作らなくては無い状態です。

こうなってくると、
作業の優先順位付けがとても重要になってきます。

私の場合は、この時にOODAループを活用しました。

OODAループの良い点は、
目の前で起こっている事に対して、
瞬時に、柔軟に対応出来るからでです。

共同輸配送は、積み込む荷物が揃わない限り、
トラックは出発をする事が出来ません。

また、
積み下ろしの出来るスペースが空いていなくては、
何も出来ません。

最近は、バースの予約が出来るよになっていますが、
それは、まだまだ、ごく一部なのではないかと思います。

今、試験的に行っている物流会社であれば、
バースの予約が出来るシステムが採用されているのでしょうけど、
普及率は、それほど高くは内容です。

実際、
ドライバーの8割がバース予約「使ったことない」
という結果もあるようです。

https://www.lnews.jp/2020/10/m1027403.html

この事から、現状では、倉庫現場作業者の段取り次第で、
積み下ろしに対して待ち時間が発生する可能性があります。

そうなると、
全体の運行の時間管理にも大きな影響を与えます。

また、共同輸配送を行うと言う事は、
作業時間が集中する事にもなります。

それが何を意味するか?

例えば、
16時から積み下ろしを行うとして、
その時間帯だけ、
フォークリフトマンが5人必要だけど、
その他の時間帯は、
3人で足りるという事になる可能性があります。

そう考えた場合、
正社員のフォークリフトマンを3人雇って、
2人をアルバイトや派遣社員で
十分となる可能性があります。

ただ、人手不足の時代、会社の都合に合わせて、
働いてくれるフォークリフトマンが
見つかるはずがありません。

また、ピッキング作業を行う場合も同じで、
午後から積み込み中心で、
午前中の2~3時間に大人数のピッキング作業者が
必要となる可能性もあります。

大型の物流センターであれば、仕事はあるでしょうが、
中堅以下の倉庫では、どう頑張っても仕事が無い可能性が出てきます。

そうなると、
共同輸配送に参加をしたくても出来ない、
採算が取れない、人が集まらない、
といった理由で断念する企業が出てくるのではないかと考えられます。

共同輸配送は、大手の物流会社であれば、
活用の価値はありますが、
中堅以下の物流会社の倉庫では、
かなり厳しい現実問題が立ち塞がる可能性が高いのです。

世間一般では、トラックドライバー不足の対策として、
共同輸配送の導入を考えているようですが、
運ぶ荷物が準備されていなくては、
トラックは荷物を載せて運ぶ事が出来ません。

その事を考慮に入れていないのか、
倉庫作業者は、いくらでも集まると考えているのか、
物流の流れを考慮に入れず、
運ぶ事だけに集中しているのが、
現状の最大の見落としではないかと考えます。

倉庫は、ロボットや自動化が進んでいるので、
人手不足など対策済みと甘い考えが、
新しい問題を生み出すのではないかと思うのです。

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