人材・人財育成問題・課題シェア会 IN 中小倉庫研究会

4月16日に私が主催している
Facebookグループ「中小倉庫研究会」のメンバー同士で、
人材・人財育成の問題・課題をシェアするzoomミーティングを行いました。

参加人数は、私を含めて9人。

実績も経験も豊富な方々から、いろいろな意見をもらう事が出来ました。

お話をしていく中で、
人材・人財育成の問題や課題の中には、人材・人財育成を行う際は、
マネージメント職と現場職を一緒に考えない事と言うものがありました。

「マネージメント職と現場職を一緒に考えない」
という部分を考えた場合、警察が分かりやすいのではないかと思います。

現場の警察官と幹部になる警察官では、
身に付ける知識や求められるものが違ってきます。

日本は、昔から現場重視・現場主義を言われ、
現場から叩き上げで昇進をして、
管理職であるマネージメント職になっていきました。

ちょっと考えてみてください。
物流において、現場作業者と管理職に求められる
知識やスキル、役割りは違います。

なので、ここに大きな壁が立ち塞がる事となります。

現場で学んだことは、
管理職となり、マネージメントには、役に立たない事が多いと言う事。

とくに生産管理といった部分は、
製造計画に関わる事と思われがちですが、
倉庫現場の生産性を一定レベル以上に保つ為には、
生産管理に関与して、在庫をコントロールする必要があります。

製造部や営業部の要望ばかり聞き入れていては、
倉庫はキャパを超えて、倉庫内には、商品が溢れ、
現場の作業効率を低下させてしまいます。

もし、自社倉庫でなくて、
貸し倉庫に商品を保管していた場合は、
毎月の保管料が増えていくばかりです。

昔、働いた包装資材の製造メーカーでは、
営業の売り上げや製造効率ばかりを考え、
倉庫のキャパを考えて商品を山の様に作り、
貸し倉庫にどんどん入れている事がありました。

もちろん、自社倉庫もありましたが、パンク寸前でした。

ただ、小さい会社で営業部と製造部の力が強い事もあり、
倉庫の事は、まったく考えていないのが実情でした。

もし、倉庫の課長にもっと発言権や権限があれば、
在庫コントロールを行い、最適在庫数を提案して、
保管料の削減も出来たのではないかと思います。

海外においては、
ジョブ型雇用が多く採用されている事もあり、
マネージメント職と現場職は、
きっちり分けられて採用されています。

マネージメント職と現場職は、行う業務内容が違い、
役割りも違うと言う事を考えれば当然のなのですが、
日本は、マネージメント職による採用であろうと、
まずは現場を知る事から始めます。

その結果、物流においては、新人は潰されたり、
現場においてやりがいを見つける事が出来なかったり、
やりたい事と違う、イメージと違うなどといった
理由で早期退職をしていったりします。

もちろん、
現場作業者として就職・転職をしてきたのであれば、
問題ないと思います。

なので、マネージメント職と現場職の人材・人財育成は、
分けて考える必要があります。

現状では、
マネージメント職に対しての人材・人財育成は行われていますが、
現場職に対しては、人材・人財育成は行われていないのが実情です。

では、現場職に対しては、人材・人財育成を行う必要はないのか?
と言う疑問になります。

マネージメント職が人間で言えば頭脳であり、現場職が手足となります。

優秀な頭脳を持っていて、
考え、指示した事を的確に出来る手足を持っていなくては意味がありません。

心技体という言葉あるように、心と技と体のバランスが取れていないと、
能力を最大限発揮する事が出来ません。

これと同じで、心=マネージメント職、
技=共通言語・共通認識、体=現場職が揃っていないと、
物流の現場は上手く管理されて、効率的に作業を行う事が出来ません。

技の部分である共通言・共通認識とは、
会社で働く人達が共有している価値観や行動指針を示し、
マネージメント職と現場職を繋ぐ役割を担います。

共通言語や共通認識を持っていないと、仕事を行う上で、
統制が取れなかったり、目指す場所が違い、
意見の食い違いを頻繁に起こしてしまいます。

心技体の様に、マネージメント職の人達が考え、
指示した事を現場職の人達は、理解し、実践する必要があります。

簡単に言えば、イメージした事を実際に行う役割りを
担っているのが現場職なのです。

なので、現現場職には、
マネージメント職から指示された事を実践したり、
現場状況や情報を具体的かつ
的確にマネージメント職へ伝える能力が必要となってきます。

そう考え場合、現場職には、
現場職に求められる事を指導・教育していく必要があります。

この事から、
物流においては、人材・人財育成を行う場合、
少なくともマネージメント職と現場職、
別々の育成プログラムが必要となってくるのです。

その他にも、
物流会社の従業員と顧客・荷主と従業員を交換して、
お互いの事を状況や仕事内容を知るという試みを
行なっているメンバーの方もおられました。

その方がいうには、顧客・荷主の従業員の人たちは、
自分たちがいかに無理を言って、
物流の効率を下げてるという事を実感しているそうです。

これが、人材育成にどう繋がるのか?

それは、相手の目線、立場になる事で、
自分達が何を行う必要があるのか考えるきっかけになるのです。

こう言ったきっかけがある事で、
何を学ぶ必要があるか目標や方向性が具体的になります。

ただ、何かを学びたい、
どうすればいいかという疑問符を自分に向けない人は、
成長の見込みが無いとも言われていました。

このようにお互いの会社の従業員を交換する事は、
良い結果が出てている資料があろうとも、
どうしても抵抗を感じる経営陣が多いようです。

ただ、今回、お話をしてくださった方は、
某物流会社の企画室の役員の方なのですが、
いろいろな事に積極的に挑戦している方なので、
従業員の交換に対しても抵抗がなかったようです。

では、
現場職はと言えば、現場で働くからこそ、
得られる情報が沢山あります。

これらの情報を整理する事で、
顧客・荷主に対して改善提案をする事が出来ますが、
それを行う為には、やはり、知識やスキルが必要となってきます。

また、顧客や荷主からのクレームなどを直に受けやすい立場でもあります。

ただ、現場には、現場の言い分や理由があるので、
管理職は、その事をしっかりと受け止めて、
顧客・荷主へ伝える必要があります。

現場職の場合、ある程度の経験や知識を持っている人が多い為、
頭ごなしに押し付けるという事は、相手の自己肯定感を下げて、
承認欲求も満たす事が出来なくなります。

その為、
相手の言い分はしっかりと受け止めて、
良い事は良い、悪い事は、
どうすれば良くなるかを一緒に考える必要があります。

「物流とは、在庫コントロールをするものであり、
入ってきたものを出すという単なる作業ではなく、
荷主と一緒になって在庫を最適化するもの」だと。
また、「現状においては、物流は企業の中で育てられている」
とメンバーの方は言っていました。

確かに、その通りだと思うのです。

今現在において、
物流とは物を運ぶ事という認識が一般的ではないかと思うのです。

その為、物流といえば、
トラックドライバーばかりが取り上げられてしまうのではないかと思うのです。

トラックドライバーが担っているのは、
物流のほんの一部の業務に過ぎないのです。
その認識の違いを埋めない限りは、
物流=トラックドライバーのイメージを払拭出来ないのではないかと思うのです。

今回は、物流における
人材・人財育成問題点や課題点のシェア会ではありましたが、
荷主を教育する事で、物流の効率も上がるという話にもなりました。

なぜ、荷主の教育が必要なのか?
それは、物流の現場で働いた経験ある人なら、
お分かりでしょうが、かなり、無理難題を言ってくる場合があるのです。

また、物流会社も、立場が弱い為、強気に出れず、
何でもかんでも引き受ける傾向にあったりするのです。

その結果、物流現場は、残業時間が伸びたり、
トラックの待機時間が伸びたりしているのです。

物流業界の改善だけでなく、もっと視野を広げて、
荷主を巻きんだ改善対策をしなくては、
2024年の物流危機は乗り越えられないとも言えます。

最後にメンバである仙石先生が関わっている書籍のご紹介を。
今まで物流に関する教科書がないと言う事で、出版をされた書籍
『業界別物流管理とSCMの実践』(ミネルヴァ書房)
ご興味のある方は、ご購入を検討してみては、どうでしょうか?

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