荷主にとって最適な物流業務の委託の形式は?
荷主が物流業務を委託する場合、大きく分けて3つのパターンがあると考えます。
1つ目が、大型物流センターで他の荷主の荷物と一緒に作業をしてもらう。
2つ目が、委託業者の倉庫に商品を保管してもらい物流業務をしてもらう。
3つ目が、荷主の自社倉庫に委託業者が常駐して物流業務をしてもらう。
大まかに分けて、この3つのパターンが普通ではないでしょうか?
一つ目の大型物流センターによる物流作業は、最近の主流ではないでしょうか。
それを象徴するかのように、あちこちで大型物流センターが開設されています。
物流センターの良いところは、やはり人員の有効活用と経費削減、荷受け、出荷作業の効率化ではないでしょうか?
最近の物流センターは、作業者に優しく、働く環境に重点を置いているので、作業者を募集する際は強みになります。
また、扱う荷物の量が多いことで、路線業者の荷量もまとまり、トラック1台(4トン、10トンなど)ごとの集荷依頼がしやすいです。
荷量が少ない場合、他の場所も集荷することになり、集荷時間の最終時間しか決まっていなかったり、他の集荷場所の影響で遅れる可能性があります。
以前、私が働いていた倉庫は、路線業者7社が集荷に来ていて、各社最低10トントラック1台分の荷量があったために、荷物の集荷時間には、確実に各社のトラックは来ていました。
現場にとって、これは、どれだけ助かるか、現場経験者であれば分かると思います。
何故なら、荷物の出荷が終わらない限り、次の作業が出来ない場合があるのです。
何より、現場を片付ける事が出来ません。
ただ、これは、荷主にとっては関係ないと言えば関係ないでしょう。
とはいえ、荷主からの急遽の出荷指示があった場合は、比較的対応がし易くもあります。
通常、使う路線業者が集荷が終わってしまった場合でも、他の路線業者で対応出来る場合があるからです。
また、コスト削減、人員の有効活用ができることで、契約料金も比較的安く抑える事ができるでしょう。
ここまで聞くと、大型物流センターはメリットばかりのようになりますが、保管場所が広いということで、場合によっては、荷物の移動距離に時間がかかってしまう場合があります。
また、他の荷主の荷物も一緒に保管しているという事で、荷量の増加に対応しづらくもあります。
出荷に関して言えば、出荷作業の一部が遅れた場合、全体の出荷作業が遅れる可能性があります。
こう考えると荷主側としては、物流センターはメリットが多いと考えると思いますが、物流センターを建てるには、それなりの敷地が必要です。
その場合、郊外に建てられる可能性があり、交通の便が悪くなります。
これは、貸し切りトラックなどで、搬入、引き取りをする場合は、時間がかかてしまう場合があります。
では、二つ目のパターンとしての委託業者の倉庫に商品を保管してもらう場合は、どうでしょうか。
まず、このパターンの場合、委託業者の倉庫に荷主が常駐する場合と常駐しない場合があります。
まず、荷主側が倉庫を提供する必要がないため、委託する敷居は比較的低いといえます。
ただ、その倉庫がどのような設備を有しているか、倉庫の構造、面積は、立地などを考慮する必要があります。
とくにデジタル化や物流DXが進む現代では、昭和時代の設備では、作業の効率化、在庫管理、データーの共有など出来ない可能性が出てきます。
また、扱う荷物の大きさや形状によっては、倉庫内のレイアウト変更やパレットラックの組み直しなどが必要になってきます。
そして、委託先を変更する場合は、商品をすべて引き上げる必要があります。
引き上げる必要はありますが、その際、在庫数の再確認や断捨離をすることが出来ます。
こう言われると、デメリットばかりのようですが、最大のメリットは、やはり、荷主側が倉庫を用意する必要がない事でしょう。
最後の三つ目のパターンの荷主の自社倉庫に委託業者が常駐してもらう場合は、どうでしょうか。
荷主には自社倉庫を用意する必要がありますが、倉庫を建てる立地を考えることが出来ますし、委託業者を変える場合でも、商品をすべて引き上げる必要はありません。
引き上げる必要はありませんが、在庫管理が出来ていない、倉庫内が整理整頓されていない場合、次の委託業者が苦労をしたり、作業の停滞を招きかねません。
そして、倉庫内の設備を荷主側が考えるものを設置できます。
また、商品の大きさ、荷姿に合ったレイアウトやパレットラックなどの配置をする事が出来ます。
そして、デジタル化・物流DXへの取り組みを最初から始めることができるでしょう。
ただ、倉庫内の設備が破損した場合、荷主側にとっては損害になります。
例えば、壁に穴が空いた、エレベーター内の壁や天井が凹んだ場合、委託業者が修繕などをしますが、完璧とまではいきません。
言ってみれば、他人に自社の設備を壊されてしまうのです。
ただ、どのパターンの倉庫を選ぶにしても、現場作業者の質・レベル抜きにして考えることはできません。
倉庫はあくまでも箱です。
なので、最後は、やっぱり、人間なのです。
その点を忘れて委託の形態を決めると、後で必ず後悔することになります。
概要