事故防止策・安全対策の前に行う事、それは現場目線で働く状況・環境を見る
前回のブログでは、
安全意識を向上させることに焦点を当てました。
今回は、現場に焦点を当てます。
安全対策や事故防止を行う場合、
どんなことに気をつければ良いでしょうか?
大切な事は3つあります。
1:現場を知る
2:目線を変える
3:現場の声を聴く
1つ目の現場を知る
とは、環境を知るということを意味します。
例えば、ラック等に商品が
格納され死角になっている場所、
商品が高積みされ、
取る際に落下の危険性がある場所、
歩行者が飛び出しやすい場所など、
これらを知らないことには、
安全対策や事故防止を行うことができません。
そして、最近は夏は大変暑くなっています。
そのため、いくら換気をしようとも、
大型の扇風機を回そうとも
倉庫内は大変暑くなっています。
また、商品が高積みされている事で、
倉庫内の空気が流れず、
暑い空気が停滞している可能性もあります。
扱う商品によっては、
空調管理を必要とするものもあり、
冷暖房完備という倉庫もあります。
以前、働いていた医薬品を扱う倉庫では、
倉庫内は20℃設定で
空調管理をされていました。
とは言え、古い倉庫に至っては、
まだまだ冷暖房完備とはいきません。
そして、倉庫は、商品を一時保管する場所と
思っている経営者や荷主は、
倉庫内の空調管理をあまり気を使いません。
なぜなら、
空調管理が事故防止や安全対策に
つながるとは考えていないからです。
ところが最近では、
冷暖房完備の倉庫も増えてきました。
なぜなら、
商品管理や品質の向上を行う上で
冷暖房完備は必要だからです。
日本には、
雨の多い梅雨の季節や台風の
多い季節があります。
それは何を意味するか分かりますか?
湿気が多いことを意味します。
湿気が多いと段ボールケースは、
潰れる確率が高くなります。
特に重いものなどを積んでいる場合は、
一番下から潰れていきます。
箱が潰れると言う事は、
崩れる可能性がある事を意味します。
万が一にも、
作業をしている際に商品が崩れてきたら、
どうなるでしょうか?
また、出荷の準備をする際にも、潰れた箱を
1番下にする事はできませんので気を使います。
気づかず、潰れた箱を1番してしまったら、
搬送中に崩れる危険性もあります。
以前、働いていた放送資材の会社の
倉庫でも本当に苦労しました。
その倉庫は、かなり古い倉庫だったので、
冷暖房はもちろんなく、
環境を行うための換気扇等はありませんでした。
そして、半年以上の預かり品などが多かったので、
出荷の指示が来た時には、1番下の箱が潰れていました。
潰れているだけならまだしも、
ケースの蓋を止めている
ガムテープ等も剥がれているのです。
正直、そんな状態では、
お客様に出荷する事は出来ない状態でした。
とは言え、改めて梱包し直す時間もなければ、
お金もなかったので、そのまま出荷を行っていました
そして、高温多湿の倉庫で
働いたことがある人なら分かると思いますが、
暑さと湿気の高い中で働くという事は、
熱中症の危険が高まるのです。
熱中症の危険性があると言う事は、
作業に集中が出来ず、作業効率も低下します。
この様に現場の状況や環境を知る事で、
何が必要なのか知る事ができます。
2つ目の目線を変える
実際に作業を行う人と作業を行った事がない人とでは、
目線も違えば、立場や感じ方も違います。
例えば、車の助手席に乗っていて、
自分が運転する時よりも遅くブレーキを踏まれて、
怖いと感じた事はありませんか?
運転している当人としては、
いつもの事なので危険とは感じなくても、
別の人にとっては危険と感じるのです。
それとは逆パターンが、
実際に作業をしている人とっては、
危険と感じていても、
実際に作業をしていない人にとっては、
危険性を感じない場合があります。
実は、ここには落とし穴があり、
実際に作業をしている人でも、
危険性を感じる人と感じない人がいるのです。
この違いは、
前回のブログでもお伝えした
安全意識の違いなのです。
安全意識の低い人が多いと、
危険性を感じる人が減っていきます。
その結果、
安全対策・事故防止の内容は、
ありきたりで薄いものになってしまいます。
例えば、歩車分離として、
通路を分けているにも関わらず、
常時、歩行者用の通路に
フォークリフトが止まっていたり、
パレットが置かれている事に対して、
危険性を感じなかったら、
安全対策・事故防止を行う対象になりません。
なので、安全意識が高く、
何が危険なのかを考えれる人の
目線が必要となってきます。
3つ目の現場の声を聴く
現場を知り、現場の目線になる事で、
ある程度、
現場の状況や環境が分かってきたと思います。
現場の状況や環境が分かったと言っても、
表面的な事であり、
思い込みの部分がある可能性もあります。
なので、
最後は、現場の声をしっかりと聴く事が重要です。
実際に作業をしている人の声を取り入れなくては、
独り善がりになってしまう場合があります。
ここでも重要なのが、
安全意識の高い人の意見をしっかり聴く事です。
まぁ、安全意識の低い人に聞いても、
当たり障りのない意見しか言わないか、
何も無いとしか言わないでしょう。
逆に安全意識の高い人は、
いろいろな意見を言ってくる事でしょう。
それを真摯に受け止め、
真剣に解決する対策を考える必要があります。
そうでなくては、
最初は意見を言ってくれた人も、
何も変わらない、無視をされていると感じて、
最後は、何も言ってくれなくなります。
例えば、改善シートや提案シートを
定期的に提出する職場は多いと思います。
ところが提出しただけで、
その後の何も変化や行動がない場合が
多いのではないでしょうか。
提出したからには、
何か反応が欲しいと思うのが人情です。
提出をしたけど、何も反応がないと
提出する意味を感じなくなってしまいます。
その結果、
改善・提案シートの重要性を感じなくなり、
義務的、ルーティン的になんとなく書き始めます。
そうなってくると、
改善・提案シートを書く意味がなくなってきます。
そして、
現場を少しでも良くしたいと考えている人は、
最悪、会社と言うよりも、人に見切りをつけて
辞めていってしまう可能性もあります。
その為、現場の声を聴くだけでなく、
聴いた後の対応が重要になってきます。
そして、
現場を知らず、見ず、現場の声を聴かず、
こうだろうと言う思い込みだけで、
設備投資をした結果、
安全対策・事故防止の効果が無かった
と言う事だけは、避けたいのが経営者です。
事故防止策・安全対策の前に行う
1:現場を知る
2:目線を変える
3:現場の声を聴く
の3つを行うために必要なのは時間です。
何かを購入するとかではないのです。