仕事の規則やルールを守らせるには?(改訂版)


会社では、規則やルールを守らせる為に定期的にミーティングを行い、さまざまな掲示物を貼っています。
それでも、守られていないのが現状です。
規則やルールが守られない事で、大きなミスや重大な事故・事業の停止に発展することが多々あります。
そのことを怖れているからこそ、会社では、規則やルールを守らせる為に様々な施策を行なっています。
それでも、守れない場合が多々あります。
守れないことで大きなミスや重大な事故に発展する可能性があるにも関わらず、なぜ守られないのでしょうか?
あなたは、なぜだと思いますか?
必要性を感じないから?
これぐらいなら、大丈夫だと思い込んでいるから?
守られない大きな原因は、規則やルールを守りながら、仕事の生産性アップや効率化を求められるからではないでしょうか?
ルールや規則を守ると多くの場合、確認事項や仕事の手順が増え、生産性や効率に影響を与えることが多々あります。
だからみんな、慣れからくるこれぐらいはいいだろうと言う自己判断で、ルールや規則を守らなかったり、軽視をしてしまいます。
そして重大なミスや事故が起こると、職場のリーダーや管理職は、なぜルールや規則を守らなかったのかと、問いただしてきます。
その反面、毎日の仕事において生産性・効率のアップを促す課題や指示をしています。
勤続年数が長いと、仕事のコツや妥協点がだんだん分かってくると、ルールや規則でも、守るべき重要なポイントが分かってきます。
なので、そのポイントを外さないように仕事の生産性・効率アップを行います。
問題なのは、勤続年数が短い1年目や2年目の人です。
新卒の人であれば、仕事が遅くても、普通であれば注意されません。
ただし、同業からの転職者やある程度経験を持っている派遣社員の場合は違います。
転職者や派遣社員は、どんな仕事であれ、それなりの経験があり、基本的な事は出来るという先入観念願を持たれています。
なので、ルールや規則の厳守と同時に、生産性や効率を求められます。
この場合の問題は、どんなにその仕事に慣れていなくても、規則やルールの厳守と生産性・効率アップが求められる事です。
そしてミスなどをすると、「なぜ、ミスをしたのか」、「なぜ、ルールや規則を守らなかったのか」と問いただしてきます。
仕事を教えている人は、仕事に慣れていない相手に対して、無意識に減点方式の仕事の評価で、規則・ルールと生産性・効率アップの板挟みに追い込んでいます。
規則・ルールの厳守と仕事の生産性アップ・効率化。
もちろん、両方とも大切です。
大切ですが、残念ながら日頃の忙しさの為に目の前の仕事を失敗なく、早く行わさせる事に焦点を当ています。
本来、入社して1〜2年間は、仕事を覚えさせ、慣れさせる事が最優先です。
その期間に生産性・効率アップを求めてしまうと、規則やルールまで意識が回らなくなってしまう可能性があります。
役職が上がると、自然と現場と距離が離れ、規則・ルールと生産性・効率アップの両立する為の理想論を提案します。
もちろん、立場としては、当然の提案です。
誰かが理想論を唱え、方向性を示し、その為の目的と目標を作るきっかけを与える必要があります。
ただし、現場の本音は「そんなのは無理です」と思っているのが現実です。
無理には3種類あります。
1つ目は、現状を変える事に対する拒否反応から生まれる無理。
2つ目は、人的・物理的資源の不足から生まれる無理。
3つ目は、アイディアを考えられないという意識から生まれる無理。
1つ目の無理は、慣れ親しんだ仕事の状況や流れ・段取りを変えたくないという気持ちが大きく関係しています。
誰しも慣れ親しんだ環境で作業を行うほうが安心して仕事が出来ます。
そんな環境(コンフォートゾーン)を手放したくないという気持ちによって、無意識に拒否反応を起こしてしまいます。
2つ目の無理は、どんなに素晴らしいアイディアや行動力があろうとも、1人で出来る事は限られています。
だからと言って、人を増やせば解決する問題ばかりではありません。
指示した事を的確に行い、アイディアを実現出来るだけのスキル・知識を持っている人を雇わなくて、望む結果は得られません。
アイディアを実現化できる能力のない人に、望むことほど酷な事はないのです。
また、物理的に無理な事もあります。
例えば、20畳の部屋いっぱいに置いてある家具などを6畳の部屋に置く事は、物理的に無理です。
無い袖は振れないのです。
それと同じように使用できる資源は、限られています。
それを越えたものを実現する事は、事実上、無理を強いる事となります。
3つ目は、アイディアを考えるのが無理と初めから諦めてしまっている場合です。
考える事を初めから放棄してしまっては、何も生まれてきません。
考える事を止めてしまった事を責める前に、何故、考える事を放棄してしまっているのか、その原因を知る事が大切です。
結果には、必ず原因があります。
その原因を知る事で、思考停止の状況を変える事が可能な場合もあります。
話が逸れてしましたが、会社で決められた規則やルールを守るのが嫌だという人は、普通はいません。
もし、居たとしたら、会社を辞めてもらうしかありません。
まずは、規則やルールが守られない事で、どのような結果を生み出すかという情報を共有します。
そして、職場の人全員が、これぐらいは言いかとい曖昧な部分を無くし、共通認識を持てるように意識改革が必要です。
仕事に慣れていない人に対して、規則やルールを守りながら、同時に生産性アップ・効率アップを求めるというのは、「二兎を追う者は一兎をも得ず」という事になり、余計なプレッシャーを与えてしまいます。
「二兎を追う者は一兎をも得ず
【意味】
二兎を追う者は一兎をも得ずとは、欲を出して同時に二つのことをうまくやろうとすると、結局はどちらも失敗することのたとえ。」
少なくとも、勤続年数が2年未満の人に対しては、規則・ルールの厳守を最優先にさせる事が必要です。
そして、3年以上5年未満の人に対しては、規則・ルールを厳守させながら、少しづつ仕事の生産性・効率アップをさせるように指導していく必要があります。
勤続年数が5年以上にもなれば、規則・ルールの厳守は当然として、仕事の生産性・効率アップが出来るように仕事の指導をしていく必要があります。
その際、先ほどお伝えした3つの無理を言わせない・感じさせない環境作りを行っておく必要があります。
ただ、「今の時代、そんなにのんびり仕事を教える時間が無い!」と言われるか方が多いと思います。
だからと言って、時間を惜しんでは人財を育成する事は出来ません。
時間をかけてでも、人財を育てるか。
時間を惜しんで、人罪を育てるか。
規則やルールを守るのは、人財と人罪、どちらかの人なのか考え、長期的視野で限りある時間を活用する必要があります。
規則やルールを守らせるとは、人財を育てる事なのです。
山本五十六氏の
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
という言葉にあるように、人を育て、成長させるには時間が必要なのです。
仕事を教える人にこそ、教えている相手が成長する時間を楽しみ、待てる心の余裕が必要なのです。


