摩擦 in 藤沢武夫

藤澤氏が、自分達が引退した後の事を考えて、生み出したのがエキスパート制度であり、それを活かす為に研究所を本社から分離独立させた。

そして、本社では、役員を集めた大部屋制度を創った。

この二つとも、社員の能力を最大限活かす為でもある。

宗一郎氏は、社員の能力を伸ばす為には、

「特に若者の能力を伸ばすには、限界に挑ませる事。

そして、不可能なことを可能にさせる。

そうすることで自信が生まれ、飛躍的に力が伸びるんだ。」

 

と言うように、現場では常に叱咤激励をして限りない限界に挑戦をさせていた。

 

それに対して、藤澤氏は、

 

「社員がダメになるのは、100%組織の問題だ。」

 

と感じていた。

 

そして、

 

「内部での人間関係、そこから発生した摩擦で、ほとんどの社員はやる気を失ったり、

モチベーションを失ったり、能力を落としたりする。

それは、間違いない。

だからこそ、

ホンダの人事としては、いかに内部摩擦を防ぐか、

社員が社内の人間関係に惑わされずに仕事で爆発的な能力を発揮できるか、

その環境づくりに専念するのが、第一の眼目であった。」

 

と言う。

その答えの一つが、冒頭でも書いた職人気質の社員が能力を最大限出せるようにと、研究所の独立分離であった。

 

今の時代、人間関係に疲れ果て、うつ病を患う人が多くなったのも、実力主義と言う競争にさらされると共に、

若い世代との価値観・ライフスタイルなどの違い、

そして、世界の変化に伴うビジネスモデルの変化についていけなくなったからではないかと思う。

そして、そう言った環境に一番関係するのが、会社の組織ではないかと思う。

まさに、藤澤氏の指摘通り、会社の組織が重要な役目を担っている。

 

個々に対しては、宗一郎氏の考え方でもいいかもしれないが、組織と言う集団で考えた場合、組織内部の人間関係まで、すべて見るわけにはいかない。

誰もが、本音で語るなどと言う事はないと思う。

ましてや、役職などの立場など、様々な立場がある。

 

素人考えだと、組織を改革、変化させるには、現場の意見を聴き、全体の仕事の流れを見、各部署の関係と連携を考慮する必要だと思う。

 

政府(行政)の為の国民(市民)ではなく、

国民の為の政府であると言うように、組織の為の社員ではなく、

社員の為の組織と言う視点で見ると、自然と人間関係の摩擦もなくなるのではないかと思う。

 

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