プロ倉庫作業者とDXシステムの関係
はじめに
現状の倉庫業界 近年、物流業界は急速な進化を遂げています。
Eコマースの拡大や、多様な配送サービスの出現によって、倉庫作業の効率とスピードが求められています。
その一方で、現場においてはパート、アルバイト、派遣社員が多くを占め、本当の意味でのプロ倉庫作業者が減っています。
それは何を意味するのか、ほとんどの現場では考えられていません。
と言うよりも、プロ倉庫作業者の必要性を考えていないでしょう。
プロ倉庫作業者の定義
私の考えるプロ倉庫作業者とは、以下の業務を一通り経験している人物のことを指します。
– 入庫・検品 – 在庫管理
– ピッキング・仕分け
– 流通加工 – 梱包・出庫
– トラックへの積み下ろし
このような多様な業務に対応できる人材は、現在の倉庫現場では希少となっていると考えます。
なぜなら、多くの倉庫現場においては、正規雇用の作業者は、監督者的立場になり、パートや派遣社員を管理する立場になっているからです。
しかも、各作業工程ごとに担当者が決まってしまい、ローテーションをしない場合が多く、その結果、自分の作業の内容しか分からない、他の作業は関心が無くなってしまっている可能性があります。
それが意味することは、何か?
簡単に言ってしまえば、倉庫作業の流れを俯瞰して見ることが出来ないということです。
これが最大の問題です。 プロ倉庫作業者としては、倉庫の現場作業の流れを個別に点で考えるのではなく、全体の流れを線で見る必要があるからです。
点で見るか、線で見るか、この違いは作業効率と人員の配置にも大きく影響を与えます。
個々の作業を点で見ると、人員の配置は単調になり、荷量の変化、現場の変化に柔軟に対応できません。
ところが、線で見ると、全体を通りして、どの作業が人員が足りていないか、余っているかを把握するので、荷量の変化、現場の変化に柔軟に対応することが出来ます。
言うなれば、プロ倉庫作業者は、現場の司令塔の役割りを果たしているのです。
そのためにも、各作業の内容を熟知していなくては、細かな指示を出すことが出来ません。
今の倉庫の多くは、その司令塔の役割りをデジタルのシステムに移行している過渡期とも言えます。
では、デジタルのシステムに完全に移行できるのかといえば、難しいというのが、私の意見です。
現場作業は、イレギュラーや突発的な作業対応を求めれれることがよくあります。
これが何を意味するのか?
それは、その状況を見て、状況に合わせて、判断、指示を柔軟に行っていく必要があります。
これを、今のシステムで行うには、情報が足りなさすぎです。
また、情報を入力しようにも、言語化できないのが現状です。
言語化できない、出来たとしても、あまりにも情報が多すぎてデーターとして処理できないのが実情ではないかと考えます。
プロ倉庫作業者とDXシステム
多くの物流企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を検討・進める中で、倉庫現場でも高度なシステムが導入されています。
しかし、現場作業者が主にパートや派遣社員である現状では、本当に効率的なシステムを活かすことが出来るでしょうか?
最悪のケースとして、システムに使われるだけの作業者が生まれてしまう可能性が考えられます。
そうさせない為にも、現場からの要望を取り入れて、システムをバージョンアップさせていく必要があります。
今後のプロ倉庫作業者の役割りが、現場に合ったシステムのバージョンアップをする為の現場からの意見の取りまとめや作業全体の効率化の為の提案になってくると考えます。
そのためにも、プロ倉庫作業者の存在は、今まで以上に重要視される可能性が高くなると考えます。
まとめ
プロ倉庫作業者の役割りの変化 今までプロ倉庫作業者の役割りは、現場を仕切り、作業者の無駄を無くし、作業効率を上げることでした。
ところが、DXシステムの導入により、作業効率を上げる事が出来るようになりました。
とはいえ、システムは、システムです。 勝手に成長もバージョンアップもしません。
システムを成長・バージョンアップさせるのは、プログラマーですが、どのように成長・バージョンアップさせるか、方向性や内容を提案する役割りがプロ倉庫作業者になると考えます。
時代が変われば、人間の役割りも変わって行きます。
その変化に対応できるかが、DXシステムを活かすカギだと考えます。
その為、プロ倉庫作業者の育成の重要度が高まっていくと考えます。