ホワイト物流推進運動への提言パート8
「ホワイト物流」推進運動内に書かれている推奨項目において、
倉庫業務関係する個所を抜粋して、
私の20年以上の倉庫現場経験からの問題点・課題点の提言。
B:事前提供
- 集荷先や配送先の集
- 運転以外の作業部分の分離
- リードタイムの延長
- 納品日の集約
- 検品水準の適正化
集荷先や配送先の集約
課題
・人手不足
・コスト
・集約した場所での積み込み作業
・指導力不足
集荷先や配送先の集約は、
一見、有効ですが
様々な問題・課題を集中させてしまいます。
出荷先や配送先を集約するという事は、
荷物がそれだけ集中するということになります。
そして、荷物が集中すると言う事は、
荷物の受け入れ、保管、仕分け、
積み込みと言った作業量も増えます。
その結果、
それらの作業料に合った作業者数が
必要となってきます。
また、広い敷地が必要となってきます。
ところが、大きな倉庫の多くは、
郊外にあったりと交通の便が悪い場合が多く、
人が集まりづらい傾向にあります。
まずは、
これらの問題課題を解決しなくては、
集荷先や配送先の集約は出来ないのです。
以前働いていた運送会社の倉庫では、
デンソー・アイシン・豊田自動織機の
商品の集約地として、
各工場から当日出荷分の商品を集荷し、
路線業者7社・貸切トラック3台へ
仕分け・積み込み作業を行なっていました。
その為、保管・棚入れ・ピッキング作業は無かったので、
作業者の人数は、4人ほどで済みましたが、
保管・棚入れ・ピッキング作業があれば、
4人ではとても回すことは出来ません。
作業者が4人とはいっても、
路線業者や貸し切りトラックのドライバーに
手伝ってもらうことでやっと回せる内容でした。
集荷先や配送先の集約と言う事は、
多くの作業者が作業を行うことを意味します。
そして、各工程の作業者に対して、
適切な指導や指示を行う必要があります。
そこにも、大きな問題があります。
倉庫現場の作業者のリーダーは、
まともな人材教育をされていない場合が多々あります。
今までいろいろな倉庫の現場で働いてきましたが、
まともに指導をされたことはありません。
その大きな理由として、
倉庫作業は単純作業なので、
誰にでも出来るという思い込みで、
リーダー研修などを行っていないのです。
そして、
現場のリーダーも学習意欲が低いため、
自ら外部のセミナーなどに参加して
学ぶと言う事をしません。
今まで、
さまざまなセミナーや勉強会に参加してきましたが、
一度も倉庫作業を行っている人に会ったことはありません。
私が変わり者なのかもしれませんが、
さまざまな事を学ぶことで、
いろいろな人たちに出会い、視点や考え方の幅も広がり、
行動の選択肢が増え、
状況に合わせて行動が出来るようになりました。
話を戻しますが、
リーダー研修などを受けていないリーダーは、
人を育てる、仕事を教える事の大切さ、
優先順位の高さを分かっていないのです。
その為、
「こんな作業も出来ないのか!」
「効率が悪い、要領が悪い、
いつまで経っても半人前だ」
「何回もミスをするな!」
などなど、頭ごなしに叱りつけるだけです。
アドバイスなどと言う事をしません。
今では、
当たり前になったコーチングですが、
そんなものは倉庫の現場には存在しません!
もちろん、
言葉ぐらいは知っているかもしれませんが、
学んでいる人など皆無です。
私は、
コーチングという言葉が一般化する前に学んでいるので、
傾聴や質問の大切さを知っていました。
なので、
常に現場のドライバーとは対話をしながら仕事を行い、
相手が仕事を行いやすい状況を作ってきました。
そうすると、どうなると思いますか?
作業効率が上がるだけでなく、
ドライバーとの信頼関係も築け、
多少の無理も聞いてもらうことが出来るのです。
その事が分かっているか、
分かっていないかで、
仕事の段取りや効率は大きく変わってきます。
集荷先や配送先の集約すると言う事は、
多くの作業者やトラックドライバーと
関わると言う事を意味します。
そんな状況・環境において、
自分の仕事を優先して仕事を行っていたら
確実に現場は破綻します。
どんなに最新のシステムを導入しても、
働いているのは、
さまざまな考え方や価値観を持っている一人の人間です。
そして、
一人ひとり感情を持っています。
まともに仕事も教えず、
失敗したら怒鳴り、叱責し、挨拶をしない、
話すもの嫌だという態度をとられたら、
どうでしょうか?
そんな倉庫の現場で、
働きたいと思う人は普通はいないはずです。
人手不足の今の時代、
そして、これからの時代。
働く人を留める為には、
どうするかを考える必要があるのです。
集荷先や配送先の集約するというのは、
働く人が気持ちよく働ける
環境を作る事が出来てから考えるべきなのです。