物流フローにおける3つの主要拠点

物流は私たちの生活を支える重要な仕組みです。

例えば、毎日の食卓に並ぶ野菜や果物、インターネットで注文した商品、そして店舗に並ぶ商品が滞りなく届けられるのは、物流システムが円滑に機能しているおかげです。

近年はEC市場の急速な拡大により、物流量は年々増加しており、正確で効率的な物流システムが求められています。

例えば、災害や天候不良が発生した場合、物流が滞ることで食品や医薬品の供給が遅れ、社会全体に大きな影響を与えることがあります。

そのため、物流は単なる「物を運ぶ仕組み」ではなく、私たちの日常生活や企業活動を支える重要な社会インフラとも言えます。

その流れを支えているのが倉庫・物流センターです。

ただ、倉庫・物流センターという名称では、物流における役割が明確に伝わらないと感じましたので、名称を「サプライベース」「サプライハブベース」「クロスハブベース」に変え、それぞれの拠点が果たす役割や機能について、分かりやすく解説します。

はじめに

物流の流れには、荷物が出発してから最終的に目的地へ届くまで多くの人が関わり、さまざまな工程が含まれています。

特に重要な役割を果たしているのが、商品が一時的に保管されるサプライベース、在庫管理や加工業務を行うサプライハブベース、そして最終的な仕分けを行うクロスハブベースです。

この3つの拠点が連携することで、効率的な物流フローが実現し、最終的にエンドユーザーへスムーズに商品が届けられます。

物流は単に荷物を運ぶだけでなく、時間とコストの最適化、品質の維持、そして顧客満足の向上を目的としています。

このため、物流フローを効率化するための基盤となる拠点の役割を理解することは非常に重要です。


サプライベースとは?

サプライベースは、製造元や荷主、場合によっては顧客自身が商品を一時保管する場所です。

ここでは、商品の在庫をしっかりと管理し、多方面へ出荷をするための次の拠点であるサプライハブベースへ商品は輸送されます。

最近では、これらのデータは倉庫管理システム(WMS)によって一元管理され、商品の位置や在庫の動きがリアルタイムで把握される仕組みが整えられています。

AIやIoT技術を活用した自動化システムの導入により、例えば、需要予測データに基づいて生産計画を調整して、在庫量を調整する仕組みもあります。

また、在庫情報の可視化が進むことで、サプライハブベースへの商品の移動タイミングや数量の調整、トラック輸送がスムーズに行われます。

サプライベースでの運営が効率的に行わられると、サプライハブベースでの作業が効率的に進み、物流全体の流れがスムーズになり、企業全体の収益改善にも繋がります。

一方で、在庫管理が不十分な場合は過剰在庫や在庫切れが発生し、後の工程に遅れが生じる原因となります。

このように、サプライベースは物流ネットワーク全体の中で非常に重要な役割を担っています。

サプライハブベースとは?

サプライハブベースは、物流ネットワークの中核拠点です。

サプライベースから送られた商品はここに受け入れられ、在庫として保管・管理されると同時に、出荷指示に従い加工業務も行われます。

入庫作業

サプライハブベースでは、まず入庫作業が行われます。

この作業は物流の出発点とも言える重要なプロセスであり、ここでの精度が後の在庫管理や配送スケジュールの正確性に大きく影響します。

到着した荷物は、数量が正しいかを確認し、不良品や破損がないか品質チェックを行います。

この段階で問題を発見し対処することで、不良品の混入や後続工程でのトラブルを防ぐことができます。

その後、多くの場合、倉庫管理システム(WMS)にデータを登録し、商品ごとの特性や保管条件に応じて最適な場所へ保管・格納されます。

例えば、温度管理が必要な商品は冷蔵エリアへ、出荷頻度が高い商品は作業効率を考えて取り出しやすい場所へと保管されます。

これにより、在庫管理が正確になり、出荷作業のスピードが向上します。

このように入庫作業は、物流拠点全体の効率化を支える基盤とも言える重要なステップです。

この工程でのミスが後工程の業務に遅延や欠品を引き起こす可能性があるため、正確さと迅速さが求められます。

自動識別技術(バーコードやRFID)の活用により、荷物の検品や登録が高速化し、人的エラーが大幅に削減されています。

こうした自動化技術の導入は、全体の物流効率を大きく向上させる要因となっています。

在庫管理業務

在庫管理は、サプライハブベースの中心的な役割の一つです。

この業務では、倉庫内のスペースを効率よく活用するためにロケーション管理が行われます。

ロケーション管理とは、商品の保管場所を登録して、管理をし易くします。

また、消費期限、賞味期限、仕様違いなどを正確に管理をすることで、先入先出を行います。

このように取り出しやすさや保管効率を向上させる仕組みです。

例えば、出荷頻度が高い商品を作業しやすい場所に配置することで、ピッキング時間を短縮します。

さらに、定期的に棚卸しが実施をして、実際の在庫数とデータを照合します。

棚卸しをする事で、在庫違いや過不足を防ぎ、正確な在庫情報を維持することが重要です。

在庫情報が正確でないと、出荷作業がにおいて出荷指示通りに作業が出来なくなるというリスクがあります。

製造元、荷主、顧客からの指示に基づき、在庫量の調整や加工業務、他拠点への出荷もここで行われます。

 

今後は、AIを活用した需要予測を導入することで、最適在庫化が行われ、適切なタイミングでの補充され、在庫回転率の向上をされることが考えられます。

このような在庫管理の徹底により、サプライハブベースは物流全体の効率化と信頼性向上に貢献します。

加工業務(出荷業務)

サプライハブベースでは、出荷するための加工業務も実施されます。

例えば、商品のラベリングやセット組み、ギフト用の梱包など、商品に付加価値を加える作業が行われます。

これにより、最終的に商品がそのままエンドユーザーへ届けられる状態に仕上げられます。

また、特定のクライアント向けにカスタマイズされた加工が必要な場合も、サプライハブベースで柔軟に対応します。

こうした加工業務は、商品に付加価値を与えるだけでなく、輸送途中における商品の破損を防止する重要なステップでもあります。

こうして整えられた商品は、輸送手段に応じてトラックに積み込まれ、次の拠点であるクロスハブベースへと送り出されます。

クロスハブベースとは?

クロスハブベースは、物流の最終拠点である仕分け拠点です。

この「最終拠点」という位置づけが重要なのは、ここで行われる仕分け作業が、商品の最終目的地に直接影響を与えるからです。

サプライハブベースから届いた商品は、行き先別に細かく仕分けられ、配送ルートごとに最適な形でまとめられます。

仕分け作業

クロスハブベースに到着した荷物は、輸送ルートや行き先ごとに仕分けされます。

例えば、関東エリア、関西エリア、東北エリアなどの地域ごとに振り分けられ、その後、さらに細かい輸送先に合わせてトラックや配送車に積み替えられます。

この仕分け作業の精度が高ければ、輸送の遅延を防ぎ、納期通りに荷物を届けることができます。

仕分け作業には最新自動化技術が導入されている事例も多く、例えば、大手物流企業では「オートソーターシステム」という自動仕分け装置が採用されています。

このシステムは、荷物に付けられたバーコードやRFIDタグを読み取り、瞬時に配送ルートを判断し、仕分け作業を行います。

これにより、従来の手作業と比較して作業効率が飛躍的に向上し、エラーも大幅に減少しています。

例えば、Amazonのフルフィルメントセンターでは、ロボットが自動的に棚を移動させ、商品を迅速にピッキング・仕分けするシステムが運用されており、これにより仕分け時間の大幅短縮が実現されています。

 

このように、仕分け作業の自動化技術は、物流のスピードと正確性を支える重要な役割を果たしています。

仕分け作業には高度な自動化技術が導入されている場合も多く、AIや機械学習を活用して最適な仕分けルートを計算するシステムが使用されています。

配送手段の最適化

クロスハブベースでは、荷物の種類や配送条件に応じて最適な輸送手段が選定されます。

例えば、小さく軽量な荷物は宅配便や小型トラックを使用し、迅速に個別配送されます。

一方、大量の荷物や重量物については、路線便やチャーター便が活用され、効率的にまとめて輸送される仕組みです。

具体的な例として、ECサイトで注文された少量の商品は、宅配便を利用して迅速にエンドユーザーへ届けられます。

また、スーパーマーケット向けの大量の商品供給では、大型・中型トラックが利用され、配送の効率化とコスト削減が図られています。

この最適化の基準には、輸送コスト、配送時間、積載効率の3つがあり、それぞれの荷物に対して最も合理的な選択が行われます。

例えば、積載率が向上することでトラックの空荷走行が減り、環境負荷の軽減にもつながります。

さらに、配送ルートの最適化により、無駄な移動が削減され、納期通りの配送が実現されるのです。

こうした配送手段の最適化は、物流全体の効率向上だけでなく、企業のコスト削減やサステナビリティの実現にも大きく寄与しています。

情報管理とトラッキング

現代のクロスハブベースでは、デジタル技術を活用して荷物のトラッキングが行われています。

トラッキングとは、荷物の現在地や配送状況をリアルタイムで確認できる仕組みのことで、専用のシステムやGPS技術を使って管理されます。

例えば、荷物が今どこにあるのか、どの工程で遅れが発生しているのかを瞬時に把握できるため、問題が起きた際にも迅速に対策を取ることができます。

また、荷主や受取人も専用アプリやウェブシステムを通じて、荷物の状況を手軽に確認できるため、安心して利用できるようになります。

さらに、こうしたトラッキングデータは物流全体の可視化を進め、効率的な管理にも役立ちます。

例えば、配送ルートの最適化や在庫の調整にもデータが活用され、物流の無駄を減らすことでコスト削減や配送時間の短縮が可能になります。

まとめ

物流フローにおける「サプライベース」「サプライハブベース」「クロスハブベース」の3つの拠点は、それぞれが連携し合いながら機能しています。

サプライベースでは商品を一時保管し、サプライハブベースで商品を在庫管理・出荷指示に従い加工を行い、出荷を行い、クロスハブベースで最終仕分けとエンドユーザーへ配送が行われます。

この流れがスムーズに機能することで、物流の効率化が進み、エンドユーザーへ迅速かつ確実に商品を届けることが可能になります。

今後はデジタル技術や自動化がさらに進むことで、物流拠点の役割も大きく進化していくでしょう。

例えば、AI(人工知能)を活用した需要予測により、在庫の適切な配置や輸送スケジュールが最適化されるようになるでしょう。

また、自動倉庫システムやロボティクス技術の導入が進み、ピッキングや仕分け作業の自動化が加速することで、作業効率と正確性が飛躍的に向上します。

実例として、大手物流企業ではIoTを活用して荷物の位置や状態をリアルタイムで監視システムが導入されています。

これにより、遅延や品質トラブルを未然に防ぐことが可能となり、エンドユーザーの満足度向上にも寄与しています。

さらに、無人トラックやドローン配送といった新技術も現実味を帯びてきており、物流業界全体の効率化とコスト削減が期待されています。

このような技術革新により、物流拠点はただの「中継点」ではなく、情報管理と効率化の中核としての役割を強化し、今後の物流ネットワークの高度化に大きく貢献していくでしょう。

物流業界におけるこれらの拠点の重要性はますます高まり、未来の社会インフラとして進化し続けることが予想されます。


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