物流コスト削減・顧客満足度アップの為に荷主が行うこととは?
物流業務のコスト削減や顧客満足度を上げたいと考えている荷主さんにとって、物流現場の作業品質はとても気になるところです。
ところが、多くの荷主さんは、物流業務を委託業者に丸投げしています。
そんな状況で本当にコスト削減や顧客満足度をアップすることができるでしょうか?
物流業務を委託しているため、一部の荷主は自分たちの関与は不要だと考えているかもしれません。
また、物流のプロに業務を委託しているということで、業務に対して干渉することを遠慮している荷主さんもいると思います。
ただ、そういった受け身の姿勢が、委託業者に主導権を与えて、求める作業品質を得られない場合があるのではないかと考えます。
例えば、誤出荷・在庫差異が多い事に対して、荷主側としては、クレームを入れるということはよくあることです。
しかし、具体的な改善策を提出させることまで行わない場合もあります。
もちろん、委託業者は荷主からのクレームを受けて、現場作業者への注意喚起を促します。
注意喚起を促しますけども、現場作業者は、指示を完全に無視するわけではありませんが、重大な事だと認識しないことがあります。
なぜなら、パートや派遣社員といった非正規雇用者が現場作業者には多いからです。
なので、それなりに気には止めますけども、言葉は悪いですが、「他人事」という感覚があるようです。
そういった現場の状況を荷主側は知りません。
なぜ、知らないのか?
それは、物流業務を委託している以上、「自分たちの業務とは関係ない」と言う意識が働き、物流に対して無関心になっているのです。
その結果、他人事にしてしまって、当事者意識が欠けてしまっているのです。
なので、急な出荷指示や倉庫の状況を考えずに大量の商品を入庫を簡単にしてしまうのです。
これが、もし、自分たちが実際に行う業務で、そういったことに自分たちで対応する立場だったら、どうでしょうか?
急な出荷指示や大量な商品の入庫を行う事に対して、躊躇したり、対応策を考えるのではないでしょうか。
一番、わかりやすいのが、トラックの荷待ち状況です。
倉庫側の受け入れキャパを超えて、荷主側の指示で荷物を積んだトラックが、次から次へと来たとします。
受け入れキャパが超えているので、どう頑張ってもトラックの荷待ちは起こります。
ただ、荷主側は、指示をして、数字上の事だけで判断しているので、現場がどうにかするだろうと安易に考える傾向があります。
なので、荷主側にとっては、物流業務はいつまでたっても他人事なのです。
ただ、荷主側は、委託料金を払っているのだから、そういったことに対しても対応するのが当然だろうと言うでしょう。
だからと言って、対応できる業務にも限界があります。
限界を超えた業務に対して、倉庫現場は対応しきれません。
なので、結果的に誤出荷や在庫差異が起こるのです。
言い方を変えると、荷主自身が、誤出荷や在庫差異を起こす原因を作っているようです。
その事に気づいていないというよりも、物流の現場を知らないから分からないのです。
本来であれば、そのことに気づかせるのは、物流業務を請け負っている委託業者なのです。
ところが、委託業者は、荷主からの要望にすべて応えているわけではないので、現場からの提案をし辛い状況とも言えます。
今までは、物流業務は、物流会社にすべてお任せのでした。
正直、人海戦術という力技で作業を行えていた時代であれば、それでも良かったです。
ところが、時代は変わり、消費者のニーズも変わり、現場作業者の質も変わり、人手不足など不確定な外的要因が増えすぎました。
こんな時代に、人海戦術という力技は通用しません。
また、物流現場だけで、どうにか出来る問題でもありません。
今までは、点で物流の効率化を行ってきましたが、これからの時代は、線で物流の効率化をする必要があります。
言い換えれば、今までは部分効率化で十分対応が出来ていましたが、これからの時代は、全体最適化を行う必要があります。
その為にも、現場のデジタル化・物流DXは必須でもあります。
現場のデジタル化・物流DXは、物流現場だけで、どうにか出来るものはありません。
荷主の協力が必須でもあります。
物流のコスト削減と顧客満足度を向上させるには、物流現場と荷主の双方の協力が不可欠です。
物流業務に関して、無関心を止め、委託業者に丸投げというのを止めませんか?
そして、全体最適化を行い、コスト削減、顧客満足度をアップしませんか?
その為に、物流現場に対して、興味関心を持ち、積極的に関わりを持ちませんか?
その一歩こそ、全体最適化の一歩なのです。