2024年物流問題の本当の問題と解決策は?

トラックドライバーの労働時間規制が来年に迫った今年。

宅配便の送料の値上げ、翌日配達が出来ない地域が
宅配業者から発表をされました。

それに伴い、いろいろなメディアで、
3割の荷物が運べなくなると一斉に取り上げられ、
報道をされ始めました。

メディアが取り上げるテーマは、
ドライバー不足、ドライバーの労働時間、宅配便の不在者の多さと言った
ドライバーに関する事や宅配便の事ばかり。

国・行政も、トラックドライバー不足解消の為に、
労働環境の改善を中心に対策を考えている。

それに伴い、トラック協会も色々と要請をしたりしています。

では、トラックドライバー不足が解消されたら物流問題は解決されるのでしょうか?

一般の方々は、解決されると誤解している事でしょう。

「荷物を運べるドライバーがいるのだから、大丈夫でしょう」と
普通は考えます。

もちろん、その方々が悪いわけではありません。

物流の流れを知らないので、当然だと思います。

今、行われているドライバー不足対策として、
共同配送、バース(荷下ろし場)予約、
ダブル連結トラック、パレット積み下ろしなどがあります。

効率良く荷物を運ぶためには、有効な対策ではあります。

問題は、荷物を積み下ろしする倉庫側です。

最近は、発着荷主側に対しても対策を行うようにと言われ始めていますが、
荷主が物流部門をアウトソーシングして、
物流会社に委託していた場合は、対応は物流会社の倉庫現場になります。

極端な事を言えば、荷待ちが起きないようにする対策は、
荷主が行うのではなく委託された物流会社の現場が行う事になります。

最近の物流倉庫で設備が整っていれば、
自動倉庫などを完備したり、デジタル対応のツールを使って、
検品や格納、ピッキングなどが効率化されています。

ところが、そんな設備が整っている倉庫は、そうそうありません。

多くの場合は、アナログ作業がメインです。

そうなってくると、
現場作業者のスキル、能力によって、作業効率が変わってきます。

では、現場作業者のスキル、能力が高いかと言えば、そうでもありません。

なぜなら、現場作業者の多くは、パート・アルバイト、派遣社員だからです。

だからと言って、正社員の作業者も高いかと言えば、そうでもありません。

経験がある分、それなりに高くはありますが、飛び抜けて高いわけではありません。

さらに言えば、倉庫現場作業者も人手不足です。

そんな状況の中、
トラックの運行だけ効率が良くなったら、どうなるでしょうか?

予定通りトラックが来ても、結果的に荷待ちを起こします。

また、荷物を下ろしても、倉庫内に格納が出来ない、
整理整頓が出来ない、繁忙期は荷物が増えて、
倉庫の通路に荷物が溢れているという状態になります。

現在でも繫忙期は、
倉庫内の通路に荷物が溢れて言うところは多いはずです。

さらに、現場作業者の高齢化が進むことで、
重い荷物の取り扱いに時間が、今まで以上にかかります。

または、作業者が一人辞めただけで、
仕事が回らず、現場崩壊と言った倉庫現場もあるでしょう。

現場崩壊に至らないまでも、既存の作業者に負担がかかり、
辞めていく作業者が出てくれば、結果的に現場崩壊に繋がっていきます。

そうしない為に物流ソリューション企業が、
いろいろなシステムやハードを開発しています。

もちろん、それらの活用によって、
資金力があり、荷量が多い物流倉庫であれば、費用対効果が出るでしょう。

問題は、そういった大型物流センターは、日本には、それほど多くない事です。

また、まだまだ、荷姿などにより自動化に対応出来ない荷物がお送ります。

多くの物流展で展示されている多くは、
工場にあるようなロボットアームやセンサーによる仕訳け、
自動フォークリフト、小型AGVなどです。

正直、そういったものでは、古い中小の倉庫では、導入は出来ません。

導入しても、費用対効果が得られません。

ビジネスである以上、
開発側も利益を出す必要があるので、しょうがないとは思います。

ドライバー不足は、物流問題で言えば、目に見える部分。

目に見えるから、そこに話題や対策が集中してしまう。

荷待ち問題の本質的な原因を探れば分かるはず。

なぜ、荷待ちが起こるのか?

そこを深掘りしていけば、簡単に本質的な原因に行き当たる。

荷待ちが起こる原因として、
一番分かり易いのが、倉庫側が対応が出来ない事にあるのです。

では、なぜ、対応が出来ないのか?

倉庫側では、他の作業を優先して行っているからです。

逆にいえば、倉庫側が対応出来れば、荷待ちは起こらないのです。

例えば、荷物がパレット下ろしとしても、
荷下ろし場が、他の荷物で溢れていれば
荷物を下ろす事が出来ず、荷待ちが発生します。

また、天気が悪く、雨などが降れば、
屋根がある場所でしか、荷下ろしが出来ません。

それによって、通常より時間がかかって、結果的に荷待ちが発生します。

この事からも、荷待ちの本質的な原因は、現場の対応が出来ないのです。

ドライバー不足だからと言って、
トラックの運行効率を良くした結果、
倉庫現場に負担がかかっては意味がありません。

荷主によって、荷量や荷姿、
発着日時をコントロールする事で、
トラックの運行効率が良くなることで、
倉庫の対応力が求められる事になります。

ただし、
倉庫の対応力が低ければ、結果的にトラックの運行効率は落ちます。

FR車(後輪駆動車)に例えるなら、荷主がハンドルを握って、
前輪が倉庫、後輪がトラック(運搬)として、後輪のトラックの力が勝る事で、
前輪のグリップ力である倉庫が対応力が足らず、
プッシングアンダーステアという現象によりコーナーでスピーンしてしまうのです。

言うなれば、荷主・倉庫・トラックのバランスが重要なのです。

今までは、トラックの運行効率が悪いというよりも、
倉庫が対応しきれず、そのしわ寄せがトラックへ行っていた事で
荷待ちが起こっていたに過ぎないのです。

もちろん、倉庫現場の作業者も遊んでいる訳ではありません。

倉庫現場作業者も、
荷主からのイレギュラー対応やさばき切れない荷量、積み下ろし、
倉庫内の整理整頓、在庫管理など、やる事は山ほどあります。

場合によっては、昼ご飯抜きで作業を行う事もあります。

毎日、5~6時間、立ち仕事を休憩なしで行っていると想像してください。

それが、倉庫現場作業者の仕事なのです。

もちろん、倉庫現場にもよりますが、立ち仕事であることには変わりありません。

そこに来て、作業者の高齢化です。

これから先、作業効率が下がるのは予想が出来ます。

にもかかわらず、
トラックドライバー不足に注力しているのは、あまりにも危険すぎます。

このような状況を招いているのは、
倉庫業界からは、何も声が上がっていないからではないかと思います。

トラック業界は、色々と声を上げている事で、
注目を浴びていますが、倉庫業界からは、何も声が上がっていません。

あえて言えば、
大手物流企業による最新システムよる物流センターの
労働環境の改善や作業効率アップの良い部分ばかりです。

なので、余計に倉庫現場には、
何も問題が無いように思われているのかもしれません。

また、声が上がらない別の理由として、
現場作業者をぎりぎり確保できている事で、
現場が回り、現場崩壊を招いていないからではないかと考えられます。

そういった安易な考えの倉庫会社の経営者は、
この先、かなりの窮地に追い込まれる可能性があるのではないかと思います。

とはいえ、苦労するのは現場作業者なのです。

私自身、色々な倉庫で働いてきましたが、
正直、大手の倉庫、製造メーカーの構内作業の場合は、
人員はある程度、確保は出来ると思います。

問題は、中小の倉庫でなのです。

運送会社もそうですが、中小の倉庫も、
この先、人手不足、高齢化により、
経営危機に陥る可能性を十分に秘めているのではないかと考えます。

その対策を、今から行う必要がありますが、
2024年物流問題=トラックドライバー問題と捉えている感じがしてなりません。

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