職人の仕事の教え方の慣例が、今の人材育成方法に悪影響を与えていた! 【マニュアル編】


マニュアルがありながら、「見ない」・「使わない」・「書き換えない(更新しない)」なんて職場、多くありませんか?
そんな職場が多いのは、見て覚えろという慣例が根付いているからです。
 
そして、その慣例が根付いてしまったのは、昔の日本の職人の師弟関係が原因とも言えます。
 
それを証明するように、伝統工芸や職人の仕事には、マニュアルは存在しません。
 
もちろん、それが悪いわけではありません。
言葉や文章では伝える事が出来ない、行動で伝える部分が存在するからです。
 
職人は、技術を高めるだけでなく、心を磨き高める事が求められるので、型にはまったマニュアルは意味がないからです。
 
 
東京オリンピックで、一時的に表舞台に上がった「おもてなし」という言葉も同じです。
 
「おもてなし」には、本来、マニュアルは存在しません。
 
なぜなら、相手の為に何かをしたい、役立ちたい、笑顔を見たいという気持ち原動力となり、行動に現れるからです。
 
マニュアルが、存在した時点で、それはサービスの一つになってしまいます。
 
サービスを越える瞬間とは、相手が求める事に気づき、それがマニュアルに書かれていない事であっても行う事です。
 
これは、マニュアルを無視する、守らない、軽視するとは違います。
 
あくまでも、マニュアルという枠は守る必要があります。
そうでなくては、一定レベルのサービスを提供する事が出来ません。
 
「おもてなし」とは、マニュアルを熟知し、マニュアルに書かれている内容を無意識レベルで行える人が、次に進むべきレベルのものなのです。
 
 
話が逸れましたが、マニュアルとは、基礎を身につける為には必要不可欠なのものなのです。
 
ただ、昔からの日本の企業は、職人の師弟関係の教え方を引き継ぐ形で、仕事は見て覚えろ、盗み取れというのが主流となりました。
 
その結果、仕事の基礎の基礎の部分だけをマニュアル化をし、それ以上のレベルのものは、文章化・見える化をしてきませんでした。
 
その弊害が現れたのが、リーマンショックによるリストラの嵐の後です。
 
リストラにより、技術を伝える年代の人たちがいなくなった事で、仕事の基本を教える事は出来ても、それ以上の技術を教えることが難しくなってしまいました。
 
 
なぜなら、基本の次のステップの部分は、文章化されておらず、教える人の頭の中にあったからです。
 
言い換えると、仕事の基礎の基礎の部分は、マニュアルとして文章化をしてあっても、仕事のコツやアイディアとなる知恵の部分は文章化をされていなかったのです。
 
 
また、会社が大きくなるにつれて、教える相手も増えてきました。
その結果、仕事を見て覚えろ、盗み取れでは、ビジネスの変化や進歩のスピードに対応できなくなってきました。
 
その問題を解決する一つの方法として、多くの人に仕事を一括で教える為にマニュアルが作られてきました。
 
ただ、不特定多数の人に教える為のマニュアルという事もあり、細かい部分まで説明する事で分厚いものになってしまいました。
 
 
だだ、分厚いマニュアルは、読むためには時間が必要ということもあり、読むより聞いた方が早いという事になり、マニュアルを読む機会が少なくなっていきました。
 
簡単な例で言えば、家電商品なども、機能の使い方について、細かく書かれている分厚い説明書と基本的な使い方しか書かれていない薄い説明書が付属しています。
そして、分厚い説明書を読むのは、使い方が本当に分からない時だけです。
 
それと同じで、分厚いマニュアルを作っても、読まれる機会が減り、誰も読まないマニュアルに労力を割く事が出来なくなっていきました。
 
その結果、現状に合ったマニュアルは、教える人の頭の中にしか存在しなくなり、マニュアルを更新しなくなってしまったのです。
 
そして、初心者からステップアップする為には、先輩や上司に仕事のコツなどを聞くしかない状況になってしまったのです。
 
見方を変えると、仕事のコツを身に付けたり、仕事のスキルをアップする為には、昔と同じように見て覚えろ、盗み取れと言う状況から何も変わっていないのです。
 
 
昔と一つ違うのが、ビジネスが国内で完結するのではなく、グローバル展開が求めらるのと同時に、新しい市場の開拓とさまざまな業界とのコラボ製品などが求められ、悠長に見て覚える、盗み取るのでは間に合わなくなっていることです。
 
それでも、変化を嫌う年長者は、仕事は体で覚えるもの、見て覚えるものという慣例を変える事が出来ないでいるのです。
 
 
今の時代に会社で働く人が求める仕事の教え方に応えられるかは、職人の教え方の慣例を壊せるかにかかっているのです。
 
 

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