リーダーシップSL理論

仕事の指導を行う立場の人が行うリーダーシップとしてSL理論というものがあります。

SLというのは Situational Leadership の略で、
指導を相手に対して、リーダーシップの発揮の仕方を変える意味です。

何も指導しなければ人は、
自分の性格や経験、価値観などから、
自身のリーダーシップスタイルを構築していきます。

ですが、
自身のスタイルでチームを引っ張っていくのではなく、
状況に合わせてリーダーシップの発揮の仕方、
言い換えると相手へのアプローチの仕方を柔軟に変えていく必要があります。
その方が相手の成長が促進されるという理論です。

横軸は「相談・サポート」、縦軸が「話す・指示」となっています。
さらにその下には相手の熟練度という軸が描かれています。

横軸は、説明や指示出しなど、上司から部下への対応を意味します。

そして、
縦軸は、その逆で報告・相談など、部下から上司への行動を意味します。

SL理論では、この相談が多いのか少ないのか、
指示が多いか少ないかという観点からマネジメントのスタイルを4つに分けて考えます。

(1) 指示型:仕事の内容について話す事が多く、 指示をする事が多い。

(2) コーチ型: 指示とその指示に対する相談の両方が多く、
仕事の内容に関しては、ある程度、理解をしている事が前提となっています。

(3) 援助型: 細かな指示が減り、ざっくりとした指示を行います。
その為、分からない内容や担当の仕事に関する相談が多くなります。

(4) 委任型: 与えられた仕事に対して、
自分で考え、判断し、行動する事が出来る様になり、仕事に対する指示も相談も少なくなります。

この4つのリーダーシップの発揮の仕方を使い分けて、
相手の仕事に対する成熟度に応じて指導を行っていきます。

相手が新人でまだ経験が浅い状況では、
相手から上司への相談は当然少なく、あったとしてもまだ初歩的な事が多いでしょう。

なので、
この段階では上司から指示を出して、仕事を進めていく必要があります。

これが指示型の段階です。
これは、想像がつきやすいと思います。

そして、
相手が仕事を覚えてきたら段々と相手からのアイデアや提案が増えてくると思います。

ただ、
倉庫現場の作業者はなかなかこういった方向性にはいかないかもしれません。

その場合は、上司から、
何か提案やアイディアはないかと定期的に質問するのも1つの方法です。

そして、相手からの初歩的以上の相談が増えてきたら、
指示型からコーチ型に移行していきます。

さらに仕事に慣れてきて、こちらからの指示出しが最低限で良くなったら、
上司からの指示を減らし、
上司は相談を受けながら本人の考えを中心に仕事を進めていきます。

これが援助型の段階です。

そして、部下のマネジメントとして目指す最終形が委任型です。

これは部下がほぼ完全に仕事をマスターした、いわばベテランの段階です。

こちらから指示を出したり相談を受けたりせずとも、
上司の考えを先読みして、動いてくれるような状態です。

この段階まで部下が成長してくれれば、安心して仕事を任せる事が出来ます。

このように部下の成長段階に応じて、
上司が多めに指示を出していく状態から、
相手が中心となって仕事をする状態へ変えていく、
というのがこのSL理論の核と言えます。