「この5千円と言う額をどう思うか」

「心を動かす リーダーシップ」と言う本に藤澤氏が陥った経営危機に対する対応と同じような事が書かれていた。

 

本の内容は、著者であるコーチングのプロコーチ:鈴木義幸氏が、経営再建の為にその会社の社長に対して、実際に行ったコーチングで、実話にもとずいているもの。

 

経営再建の為に社長が、さまざまな改革について従業員に説明するなか、従業員からの経営陣への不満・抗議する声に対して、社長は、経営陣のミスを素直に認めた上で、会社が置かれている状況・業績などの資料を配り、経営陣だけの力では、どうする事も出来ない現状を説明し、従業員の一人一人の力と協力が必要とお願いした。

 

そして、一人の従業員の「会社は、これからよくなっていくのだから。自分たちでやらなければしょうがないんじゃないの。」と言う言葉をきっかけに、ほかの従業員からも、自分たちでやらなくてはと言う声が上がった。

 

このやり取りは、藤澤氏が、昭和29年に行った労働組合とのボーナス交渉に似ている。

 

昭和29年は、ホンダにとって倒産するかどうかの経営危機を迎えた。

 

新商品の販売不振、売れ筋だった商品をバージョンアップしたた事により、部品の不具合でクレームが続発。

さらに、高額の設備投資による返済の為の経営の圧迫。

 

この当時、資本金6千万だったホンダが、15億円の設備投資を行っている。

普通の経営者であれば、こんな博打は絶対に出来ないであろうが、宗一郎氏の技術力に絶対的な信頼を置いていた藤澤氏は、躊躇なく行っている。

 

このような出来事が重なり、経営が苦しくなる中でのボーナス交渉である。

労働組合側の要求に応えられわけがない。

 

実際、会社側の回答は一律5千円と言うもの。

組合側との隔たりは大きく、藤澤氏が単身で1600人の従業員の前で団体交渉を行った。

そのやり取りは。

執行委員長が

 

「この5千円と言う額をどう思うか」

 

と、藤澤氏に質問すると

 

「問題にならない低い額だ。

現在の本田技研は、経理上、苦しい立場にある。

これは、あたしたちの責任だ。

しかし、もう少し出せたとしても、あとで会社が潰れた時に、なぜあの時頑張らなかったのかと追及されたとすれば、経営者としてまことに申し訳ない事になる。

それよりも、年明けて3月ごろになれば、また売れるようになるだろうから、その時にまた団体交渉をしたい。」

 

この藤澤氏の熱意に打たれ、万雷の拍手とともに従業員からは、「頼むぞ、頼むぞ。」と言う声がかけられた。



藤澤氏と上に書いた社長は、自分の誤りを素直に認め、従業員に対して協力を求めている。

 

会社は、経営陣だけで成りたつものではない。

そして、従業員は、経営陣に対して従うだけでもない。

お互いが協力をしなくては成り立たない。

その為にも、強い信頼関係や経営陣との風通しがいいコミュニケーションが必要であり、経営者は何を大事にし、その大事なものためにどうすればいいか決めた上で、行動を起こさなくてはならないと思う。

 

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